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「ちょっと、待ってて」 そう言って寝室の中に消え、 奥の方で何やらゴソゴソしている。 わたしはその間にオセロ盤を 箱に納め、きっちり蓋を閉めた。 「あったよ、これ」 寝室から出て来た先生の手には、 黒い地球儀のような、 不思議な物体があった。 「何ですか、それ」 「プラネタリウム」 「あ…」 先生がソファに戻り、 電池のフィルムを 外し始めた。 「…電池入れるとこは‥」 呟きながら、 本体の裏側を覗きこむ。 その表情は、新しいおもちゃを 開封した子供のように 生き生きしていた。 「椎名、カーテン閉めてくれる?」 「はいっ」 窓際に向かい、 グリーンのカーテンを引く。
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