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「大樹さん、元気ですか」
「んー、多分」
「え、会ってないの?」
「あいつ、彼女が出来たら
急に俺から卒業しちゃってさ」
「えっ」
…彼女…。
「彼女って、
…女のひと?」
「……。たぶんね」
わたしは先生の顔を覗きこみ、
「先生…」
「なに」
「なんか、寂しそう」
「別に…」
言いかけた言葉を一旦切って、
「いや…少しは寂しいかな」
いつになく素直な
先生の言葉に、
なんとなく心が癒される。
「今の言葉聞いたら、
大樹さん、喜ぶかも」
「本人には、
口が裂けても言わないよ」
信号が青に変わり、
車は静かに走り出した。
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