-2-

3/12
前へ
/32ページ
次へ
「大樹さん、元気ですか」 「んー、多分」 「え、会ってないの?」 「あいつ、彼女が出来たら 急に俺から卒業しちゃってさ」 「えっ」 …彼女…。 「彼女って、 …女のひと?」 「……。たぶんね」 わたしは先生の顔を覗きこみ、 「先生…」 「なに」 「なんか、寂しそう」 「別に…」 言いかけた言葉を一旦切って、 「いや…少しは寂しいかな」 いつになく素直な 先生の言葉に、 なんとなく心が癒される。 「今の言葉聞いたら、 大樹さん、喜ぶかも」 「本人には、 口が裂けても言わないよ」 信号が青に変わり、 車は静かに走り出した。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

301人が本棚に入れています
本棚に追加