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その直後、グレイの背筋は凍りついた。
すぐ前には、ブラストが佇んでいた。
相手はすでにこちらを認識し、腕を空高く振り上げていた。
「近接攻撃かっ!?」とグレイは短く叫ぶ。
射線は合わせられない、しかも体勢が崩れてしまい避けられない。
頭の血が一気に引く。
次の瞬間、目の前のブラストの頭部が甲高い金属音と共に飛んでいった。
「ライリー!」
ライリーがブラストの頭部を撃って破壊してくれたようだ。
彼はリロードしながら「ちょっと!気を引き締めてよね!」と叫んだ。
さっき言ったばかりの言葉をそのまま返され、グレイはひきがねをひきながら起き上がりながら自分に向かって鼻で笑った。
グレイも「助かった!」とすぐにアイアンサイトを覗いた。
今のは本当に危なかった、死んだも同然だったのだから。
ブラストの攻撃は主に三種類。
一つは、頭部の機銃で攻撃する方法。
相手は全て敵のホストコンピュータで制御されているが、データ量が膨大なせいか、命中率が非常に悪い。
正面に立っていなければ、まず当たることは無い。
二つ目は、近接攻撃。
ブラストの腕や足は鉄のように硬く、関節が非常に柔らかいため、いつどの方向に曲がるかが分からない。
しかもその攻撃は、鉄製フェンスを容易く破るほどの破壊力を備えている。
避ける事は至難の業、危険度の高い攻撃だ。
三つ目は、自爆攻撃。
ブラストが我々めがけて突進し、距離を縮め、自爆する。
鉄片が四方八方に飛び散るため、最も危険な攻撃として恐れられている。
ブラストは頭部が体から離れるなどの戦闘不可能になると、自動で頭の内部機器を全て焼き消す仕組みになっている。
その機能を上手く利用し、ブラストの首元を撃ち、自ら内部構造を消滅させれば爆発を防ぐことは可能だ。
幸いブラストは動きが遅いため、すぐに反応することが出来る。
しかし、死角から来られては気付く事は出来ない。
稀に出る死者は、主にこの攻撃によるものだった。
兵士たちはこの脅威にさらされながら日々国を守っていた。
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