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突然、ライリーが「あれ見て!」とグレイの肩を叩き前方を指さした。
大きな荷物を持った一つの人影がゆっくり近づいてきている。
それが誰かすぐに分かった。
「ダリアルじゃないか!」
ダリアル=フォウベルク。
五十歳過ぎてもなお見本のような健康体な従軍医師兼、物資補給員だ。
彼もまた、長い付き合いの戦友である。
二人はダリアルの元の駆け寄り、彼と拳を合わせた。
ダリアルは、その重そうな医療品の沢山入った荷物を足元に置き、背伸びをした。
一週間前にこの町を出て、”秘密裏に”支援してくれている国に行き、医薬品や食料を調達しに行ったと聞いていた。
「さっき帰ったところさ。銃声が聞こえてね。来たらみんなが戦っていたというわけだ。それより浮かない顔して、何だい?何かあったのか?」
ダリアルが土嚢に座り込み、言った。
「今日は講習があるんだ、あんなにも眠たい行事はごめんだよ」
「君たちは本当に話を聞くのが苦手だなぁ」
ダリアルはその場で大声で笑い、グレイの顔を見つめて言った。
「でも、それで何か変わるんだろう?例えば、ブラストを倒すコツとか」
「さあな、いつも同じような事しか教えられないからな、確認程度じゃないのか?」
「それはどうかな?」
ダリアルはニヤッとした。
いつの間にか手を止めていた。
「おいそこ!さっさと動かんか!」
大尉に怒られ、急いで土嚢を持ち上げる。
「おっと。邪魔したみたいだ。じゃあ、また後で」
そう言ってダリアルは薬品箱を抱え、西門を後にした。
「何か知ってるね、あの顔見たでしょ」
「ああ…」
全ての土嚢と種の残骸が片付いたのは日の沈む頃だった。
「今回のはこれで終わりだ!一時間後にC棟第二会議室に集合だぞ!忘れるなよ!」
大尉が再び声を張り上げる。
「ライリー、着替えに行こうか」
「ちょっとシャワーも浴びたいな」
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