日、いつも変わらぬ世界

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 大陸の東の方に、古来、今の技術でも難しい程鋭利な刃物を持ち歩いた者が、うろうろしていた時代が存在した国がある。  当時は政治的、財政的状況は良くなかったようだが、そのカタナを持った者は皆、誇りを持っていたらしい。今の記録では、彼らは自分らの武器の力を一般に行使する事は無く、むしろ一般から慕われた者も多かったという。  今では近代兵器の虜となり、近代兵器たちを盾、抑止力として、太平洋をかける巨大な連合を組み”あくまで”中立を保っている。  いつかの非戦闘的なプライドはどこへ行ってしまったのか、時代の流れには逆らえず、古来の誇りを持つ民族の欠片も見られなかった。  時が経てばよくなるというのは表面上の事だけであり、人の中に流れる”良き物”は廃れていってしまう、それが世の理なのだろうか。  早足で召集場所へ向かおうとするが、その足は後ろからの物音で止められた。  振り向くと、乾いた地面にねじと木の板が転がっている。  ドアが壊れるのもこれで三回目だ。  直そうともたついていると、傍を通った兵士が気づいた。 「第一班、みんな集まってるぜ?」と若い兵士が煽る様に言う。
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