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門付近まで来ると、早速銃声が聞こえてきた。
「メディック!治療を頼む!」
傍の土嚢の陰から、何かを堪えるような声が聞こえた。
見ると、見張りの兵士が横になって、右ふくらはぎを押さえている。
グレイは、「頼んだ」と班内の衛生兵に治療を指示し、残りは自分に同行させた。
すぐ目の前では、もう見張りの兵士が戦闘を開始していた。
ここから確認できる数だと、想像より敵ブラストの数は減っている。
「ほら、すぐ終るって!」とライリーは元気に最前線まで走っていく。
グレイ達も急いで後を追った。
硝煙のたちこめた戦域に入ると、滑り込みながら簡易土嚢の陰に隠れる。
グレイは即座に対ブラスト用手榴弾に手を伸ばした。
「グレネード!」
安全装置を抜き、大声で叫びながらそれをブラスト軍勢に投げつけた。
その声に反応し、辺りの味方が伏せる。
直後、閃光が周囲を照らし、少し遅れて下腹を揺るがす程の爆発音が鳴り響く。
「第一班、エンゲージ!」
「”了解、第一班戦闘開始”」
「行くぞ!ゴーゴーゴー!」
無線を待たずして皆はそれぞれの射線を確保した。
まだ爆音の耳鳴りが煩く響いている。
グレイは肩から上が簡易土嚢から出る体勢を取り、土嚢に僅かなくぼみを作りそこにハンドガードを置き安定させ、アイアンサイトを覗く。
照準を、射線の近くにいるブラストの首元に合わせる。
これらを瞬時に行い、素早く引き金を引いた。
ABAR独特のガラスが割れた様な発砲音が辺りを埋め尽くす。
当たった、という快い感覚が指先から脳へと伝わる。
相手は人間では無い、ただの兵器。
人型だからといって、罪悪感や生理的嫌悪感は抱かなかった。
次々と視界に入ってくるブラストに弾を浴びせる。
相手は反撃に出る隙も無く、その場で膝から崩れ落ちる。
「リロード!」
グレイは、腰のベルトにあるマガジンを手に取り、ABARに差し込み、コッキングを引く。
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