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わたしが恨みがましい目で
先生の顔をじっと覗き込むと、
先生はくすっと笑った。
「まあ、これはもうちょっと
内緒にしておくとして」
そう言って、わたしの頬を
包み込むようにして、
顔を引き上げる。
「ちゃんと言っておきたい
ことがある。すごく、
大事なことだから」
先生の真剣な眼差しに、
わたしはこくりと
小さく頷いた。
「お前が心配する気持ちは、
良く分かった。
だけど俺は、
…お前の中に彼女の面影を
求めたことはないし、
…彼女の事を重ねて
苦しんだことも、
一度もない。
…これは、分かってほしい」
「……」
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