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あの時観たビデオの映像が、
まるで再生されるかのように、
鮮やかに蘇えった。
彼女の笑い声や、
先生の包み込むような、
少しだけ幼い声。
二人の創りだした世界が
目の前に映し出され、
わたしはその眩しさに目を閉じた。
そして…。
それを失くした先生の
悲しみと痛みが、触れた
背中を通して伝わって来る。
「あいつが泣く夢を、
…もう、何度見たか分からない。
笑顔を見たいと願っても、
あいつはいつだって泣いてた。
なにもしてやれない、
夢の中の俺は……。
せめて彼女と一緒に
泣き続けようと
手を伸ばすんだけど…。
触れようとすると、
いつもあいつは、
怒ったように俺の手を
振り払って、いなくなる。
決まって、そんな夢だった」
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