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「……」
笹森さんの言う意味が
いまひとつ分からず、
目をぱちぱちしていると、
分厚い手のひらが
わたしの頭の上に添えられた。
「ずっと、
一緒に居てやってほしい。
…彼を、頼んだよ」
わたしが答える前に、
笹森さんはもう一度
にっこりと笑顔を残し、
西出口に向かって歩き出した。
コートを抱え、
つかつかと進んで行く
大きな背中は、
すでに事件と向き合う
刑事の厳しいそれに
切り替わっているように見えた。
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