-1-

12/12
前へ
/40ページ
次へ
「……」 笹森さんの言う意味が いまひとつ分からず、 目をぱちぱちしていると、 分厚い手のひらが わたしの頭の上に添えられた。 「ずっと、 一緒に居てやってほしい。 …彼を、頼んだよ」 わたしが答える前に、 笹森さんはもう一度 にっこりと笑顔を残し、 西出口に向かって歩き出した。 コートを抱え、 つかつかと進んで行く 大きな背中は、 すでに事件と向き合う 刑事の厳しいそれに 切り替わっているように見えた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

360人が本棚に入れています
本棚に追加