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「椎名、悪いんだけど
新しい雑巾、
取ってもらっていい」
「あ、はいっ」
窓に跨った田辺くんに
呼びかけられ、しゃがんで
床を拭いていたわたしは
立ち上がった。
きれいに洗った
雑巾の山から一枚取って、
窓際に歩み寄る。
「はい」
「サンキュ」
田辺くんは真っ黒になった雑巾を
足元に落としてから、
わたしの手から
新しいものを受け取った。
「よっと」
窓枠に立ち上がり、
窓の外側の上部を拭き始める。
「気をつけて。
…落ちないでね」
ひやひやしながら
田辺くんを見守っているうちに、
お尻の辺りがむずむずして、
手のひらに汗が滲んで来る。
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