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「うわ、すげー真っ黒。 ほら」 田辺くんが嬉しそうに、 気持ちがいいほど 汚れた雑巾をこちらに示す。 「わ、ほんとだ」 「悪い、また 新しいのくれる?」 「うん」 田辺くんに新たな雑巾を 渡したところで、 ガチャ、と放送部室の ドアが開いた。 「来ましたよー、 新しいロッカー」 1年生部員が少し息を 切らしながら言う。 「お疲れさま。 大変だったね、2階まで運ぶの」 わたしが回り込んで 扉を押さえると、 大きなロッカーが 魔法のように、にょきにょきと 部室に姿を現し始めた。 「ゆっくりゆっくり。 ぶつけないように」 廊下から、春山先生の 声が聞こえる。
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