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「じゃ、続きやっちゃおうか。
真嶋先生も手伝って下さいね」
「え、マジすか。帰りたい」
「しっ。生徒の前で
そういうこと言うなって」
二人の先生は、
ごにょごにょと
何か小競り合いをしながら
廊下に消えて行った。
部員達もその後に続き、
ぞろぞろと出て行く。
「よっし、終わった」
部室が再び静かになると、
田辺くんが窓枠の上から
ぴょんと床に降り立った。
「彩加、教室で待ってるの?」
「うん、多分
よだれ床まで垂らして
寝てると思う」
田辺くんは
新しいロッカーに歩み寄り、
スチール製の側面を
コンコン、と叩いた。
「なんか、変な感じだな。
ここにあるのが
当たり前だったあの
汚い木の棚が
無くなっちゃうのは」
「…そうだね…」
「それに、
春山先生の代わりまで
決まってると思うと、
…なんつーか、寂しいな」
「うん」
振り向いて見ると、
すでに運び出された
テーブルと椅子があった場所には、
がらんとした空間が空いていた。
そこには、もうすぐ
運ばれて来る
新しい机と椅子が
収まることが、決まっている。
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