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わたしは、ゆっくりと
顔を先生に向けた。
「今は、…わかるの?
彼女が、何を怒っていたのか」
「わかるよ」
先生は、頷いた。
「…すごく、簡単なこと。
あいつも、
…俺と同じだったんだ。
泣いてばかりいる、…俺の
笑顔が、見たかったんだよ」
しっとりと潤んだ目が、
優しく微笑んだ。
「その事に気づけたのは、
大学を卒業して、教師になって…
まあ、ある人と再会した
おかげなんだけど」
「ある人…」
「…今日子先生」
「あ…」
わたしは、フジコ先生が
昔から称美学園高校でも
カウンセリング室を開いていると
言っていた事を思い出した。
フジコ先生が、春山先生と
彼女の恋を知っていたとしても、
不思議ではない。
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