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心臓が、トクンと揺れた。
先生の過去の話に、
突然自分が現れたことが、
何だか不思議だった。
「桜、咲いてたよな」
「…はい…」
あの日のことが一気に蘇えって、
桜が舞い散る光景が
思い起こされる。
なぜか、涙が
出そうになった。
「先生は…」
わたしは、春山先生の顔を
見上げ、言った。
「思えば、最初から、
イジワルでした」
先生が、困ったように
フッと微笑む。
「だって、普通、
ああいう時って、
…パンツとか見えてても、
知らんぷりして通り過ぎて
くれるものじゃ、ないですか。
あんなにはっきり言われたら、
恥ずかしいし…」
「だって俺、イジワルだから」
「……」
わたしが膨れた顔をすると、
先生は可笑しそうに笑った。
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