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「でもさ。 一応、あの場所は 有名なスポットだから 近付くなって、 可愛い新入生に 教えてあげるのは、 先生の大切なお仕事の ひとつだと思わない?」 「…それは…。 そうかもしれないですけど…」 「しかも、あんな風に ぼけーーーっと遠くを 見てるような新入生じゃさ。 万が一、ヘンな奴に 覗かれたら、可哀相だろ」 「そんな…。 覗かれたりしたら、 さすがに気付きます」 「そうかな?」 「そうです」 「…そうかもね」 先生は、まるで 動物を可愛がるように、 わたしの頭をなでなでした。 「あの時は、まさかお前と こんな風に一緒にお風呂に 入ることになるとは 思ってなかったよ。 …分からないもんだね」 「……」 「ね」 「……」 「…ん?」 「あの…。 聞いても、いいですか」 「…なに?」 「先生は、あの時…」 わたしは、ゆっくりと 先生に顔を向けた。
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