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大川さんたちがいなくなり部屋には二人っきりになった。
雅司さんは部屋の扉を閉めると俺がいるベッドに近付いてきた。
「大丈夫か。」
ベッドの端に雅司さんは座りながら言った。
「はい。手錠外して下さい。」
何をするにもまずは手錠を外して欲しい。
「鍵はどこにある。」
真面目な顔で雅司さんは言った。
「知りません。さっき何か言われてたじゃないですか。」
「そんなこと言われてない。」
てっきりそのこと話してると思ったのに。雅司さんはテーブルの上を見回している。
「…これじゃ取れないな。」
雅司さんの視線の先を見ると鍵が入った氷があった。おそらくあれが手錠の鍵だろう。
「いつ溶けますかね。」
結構大きい氷の中に鍵が入っているためいつ溶けるかわからない。
「わからん。」
雅司さんも困ったように氷を眺めている。
「壊せるくらいまで溶けるのを待とう。」
「…はい。」
それしか方法ないよな。溶けるまで俺の体もつかな。
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