ブンノゲーム-第3編 ２分の１ゲーム

岸和田 清 その１

「お前なんて、死んでしまえ！」
　目の前に歩く峰岸に僕は思わず叫ぶ。
　こいつはどうにかしないといけない。
　僕は純粋にそう思った。
　どうにかしないといけない、という気持ちが、死んでしまえという発言に繋がってしまい、僕は自分の言葉に少しだけショックを受ける。殺してやる、ではなかったからだ。
　死んでしまえ、それは自分の願望のくせに、自分の手を汚さない、最低最悪の言葉だ。ただ恨み辛みをぶつけただけに見えてしまう。
　そいつが死ぬことを願っているのに、自分が綺麗なままでいようなんて虫が良すぎる。