~悲恋 ヒレン~

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息が出来ない。 目が霞む。 あぁ、僕。 死んじゃうのかな? “死ぬのが怖い”って言うよりは、 “もう近藤さん……新選組の役に立てない。剣にはなれないんだ”って 思いの方が強い。 いや、“思い”。 と言うより、“後悔”か……。 もっと戦いたかった。 もっと敵を斬りたかった。 もっと…みんなを護りたかった、助けたかった。 あぁ、後悔なら、あの子に対してもあるなぁ……。 キミを『護る』って約束したのに、果たせなくてごめん。 君から離れてしまうこと、許してくれるかな? それと、 最期まで素直になれなかった。 伝えたかったのに伝わらない。 ねぇ、僕。 キミのことずっと好いてたんだよ? ずっと優しく出来なかったけど、今なら出来る。 僕はもう助からない。 自分のことだからよくわかる。 キミはきっと、僕が死んだら泣いてくれるんでしょ? でも、それはしちゃダメ。 僕のことなんか忘れてキミは幸せに。 それが僕に出来る最期の優しさ。 最期の願い。 だからもちろん、叶えてよね? 叶えてくれなかったら、また蘇って化けて出るよ? さよなら。 僕の最初で最期の愛しい人……
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