~悲恋 ヒレン~

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『絶対、無事に帰ってきて下さい!!』 彼女の言葉を思い出す。 すまぬ。 俺は、約束を守れそうにない。 お前は俺の死を知ったとき、 どんな反応をするのだろうか。嘆き、哀しむか? それとも、今は前を向いて進むか? 俺はお前が後者であることを願う。 俺はずっとお前に対して抱いていた想いの名がわからなかったが、 やっと気付けた。 俺はお前が好きだったんだ。 お前は、 『遅いです!』と怒るのだろうか? それとも俺を認め、想いを受け止めてくれるのだろうか? それも、もう。 今となっては確かめようが無いな。 お前は俺が“笑わない”。 と言っていたな。 確かに、俺は本気では笑えていなかったんだろう。 だが、想いに気付けた今なら違う。 お前の声を、仕草を…姿を想うだけで俺は笑える。 俺は幸せだな。 死ぬときに、未練があるのは…誰かのことを思えるのは、 しっかりと生きた証だ。 副長、最後まで戦えず、すみませんでした。 俺は先に逝って待っています。 あんまり早くは来ないで下さいね? 俺は先に逝くが、お前は早く来たら怒るぞ。 お前は生き抜け。 みんなと共に、この世界で……。
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