~悲恋 ヒレン~

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“パァンッ” 辺りに銃声が響く。 それと同時に生暖かいものが流れ出る腹部。 傾き出す身体と、近づいてくる地面。 チッ。 撃たれたか……。 別に、死ぬのは怖かねぇ。 ただ、近藤さんを上に上げるっつうのを叶えきれねぇのが悔しい。 それと、あいつも泣かしちまうな。 初めは、とんだ甘ちゃんで、新選組には向いてねぇって思った。 だがよ、一つのことに一所懸命になってよ。 すぐ泣いて笑って、表情をクルクル変えて……。 周りを明るくしちまう奴。 気付いたら、好きになってたんだよ。 あいつとこの後ずっと一緒にいたかったが、 もう……無理そうだな。 なぁ、死神とやら。 本当にいるんなら、俺の頼みを聞けよ。 俺は人斬りだし、別に綺麗に死にてぇだの、死に場所を選べるなんて思っちゃいねぇよ。 だが、俺が死んじまってもあいつが幸せで居られるようにしてくれ。 これが、俺の頼みだ。 簡単だろ? 人を死に誘うお前等に頼むのはお門違いかもしれねぇが、もう頼めんのはお前等だけなんだよ。 だから、頼んだぞ。 やらねぇと、新撰組の【鬼副長】が地獄の果てでもどこまでも追いかけていって潰してやるよ。
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