妊娠2

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それから12月になった。 お店のオープンは、 5日後の金曜日を予定していた。 忙しさはピークに達していて、 入店予定の子の連絡等の管理、 まだ面接があったので、 携帯はなりっぱなしで、手放せない状況が続いた。 営業のシュミレーション、 悪い所の修正等に力を入れていた。 歌舞伎町や六本木で、力(売上)がある子を押さえていたが、 男子従業員のミスで不満に思われないように、 その子達のお客さまに、 よい店だと思って貰えなければ、ならなかった。 内装は申し分なく、超高級店と言える物をだった。 黒を基調とした店内に、 プロジェクターでセーター通路にブルーの河を流し、 回りの壁から、すべて水が流れていた。 またVIPルームも、自動ドアになってきて、大きな60インチのTVがあった。 広さも、80坪程あり、入り口には、 水と光りにより、目の錯覚を生み出す、美しい滝を作っていた。 内装費だけで、5千万だと聞いた。 お店の社運をかけていると、社長が話していた。 都内に5店舗ある中から、 幹部は、最高のメンバーを集めたとも言われた。 そんな状況だし、 選ばれた事の嬉しさからも、 絶対に自分のするべき仕事は、 こなさなければ、イヤそれ以上の結果を出さなければと、 常々思って動いていた。 俺は、プレッシャーに潰れるタイプではないが、特に仕事に対しては、 それしか見えなくなるタイプだった。 水商売に中卒は関係ないが、他の大卒の社会人には、絶対負けたくないと思っていたし、実際同年代の人達には、負けないぐらい稼いできた。 たとえ、この先の選択をしなくては、いけない水商売でも。 その時はそう思って仕事を頑張っていた。
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