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それから24時間点滴の日々が始まった。
まだ頭がおかしくて、受け答えもまともに出来なかったらしい。
そんな中でも、瑠奈は毎日お見舞いに来てくれてた。
他に社長や後輩や友達も来てくれたが、後から聞くと入院当初の俺は会話も出来てなかったらしい。
瑠奈はそんな事一言も言わなかった。
それから半月位経つと、自分で歩き回ったり、煙草を吸いにいったり、
頭の方も良くなって行ってたんだ。
その頃が一番瑠奈を泣かせて傷つけちゃったと思う。
入院生活の事は記憶から抜けている事ばかりで、まるで半分も終わっていない古い色褪せたパズルの様に、俺のキヲクは完成されていないんだ。
パズル版に置かれている色褪せたピースは、瑠奈を傷つけ、泣かせたピースだったんだ。
そのピースも色褪せちゃっているから鮮明に覚えてなくて、だから辛い思い出は、瑠奈の中にしか存在しなくて、
でも、瑠奈はそれを俺に言うことはなかったんだ。
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