花言葉 エゾギク

2/19
前へ
/35ページ
次へ
それから二人は店を出た。 そしてタクシーに乗り俺のマンションへ向かった。 このまま瑠奈をほっておけないし、 何より俺がどうしていいか分からなかった。 この時点では、ただただタクシーから、見える新宿の夜の町しか目に写らなかったが、 やがて瑠奈が俺に伝えに来た意味も、瑠奈が出ていった意味を何となく考えていた。 (出て行ったのは、あの時変わり始めた俺を気遣ってくれた。 煙草の吸う場所や、貯金の事、そのうち店を辞める事、そういった方向に瑠奈が導いていたから。 だから、自分の心を体を崩れて行ったら、瑠奈が望んでいるレールに、 俺がやっとのぼって走り出したレールの行き先を変えてしまうかも知れないって感じたんだね。 でもね、瑠奈がいなかったら、そのレール自体消えてしまったんだよ。 例えレールが俺のキヲクの中に残ってたとしても、瑠奈が敷いてくれたレールだから独りじゃ走れないから。 瑠奈と一緒じゃないと、方向音痴の俺は別れ道があったら、きっと違う方向に進んで行っちゃうから。)
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加