花言葉 シロッメグサ

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それから直ぐにメールを送った。 「瑠奈寝てる?これを見たら電話してね。俺が仕事中の時間でも、電話して大丈夫だから。お願いします」 瑠奈には仕事中は電話はしないで、メールにしてね。 って言っていたけど今日は関係なかった。 接客中でも、ミーティング中でも、 たとえ社長と話していても、電話に出るつもりだ。 前に瑠奈から、仕事中に電話があったら保留ボタンを押していた。 その事に瑠奈は悲しいよって言っていたのを思い出した。 いきなり保留ボタンを押されて、 (只今電話に出ることが出来ません‥‥‥) って言われるとちょっと切ないよね。 電話がなってるのは、分かっているのに拒否されるのは。哀しいよって言っていた。 その時は仕事だから仕方ないって思っていた。 でも今は、さっき携帯をベットに投げつけた感情を思い出した。 瑠奈の声が聞きたかった。 瑠奈の俺に電話する理由を、自分の都合に変えていたんだ。 正直言うと電話に出れない事なんてない。 瑠奈は、 嬉しくて早く伝えたい事。 怖い思いで電話した事。 悲しいかった事。 不満を聞いて欲しかった事。 俺の声が聞きたかった事もあったかも知れない。 それなのに何の罪悪感もなく、仕事中だからって、自分を正当化して保留ボタンを押していた。 そんな事、瑠奈が今の状態になるまで気付いていなかった。 瑠奈が何年も前から気にしていた事を! 俺は優しいふりしか出来てなかったんだんじゃないか? 機械的な。 目に見える優しさしかなかったのかも知れない。 そう思うと やっぱり俺は糞野郎だった。 また今頃気付くなんて。 憤りすら感じていた。
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