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そんな事を思って考えていても、
瑠奈からの連絡が気になっていた。
家にいても落ち着かなくて、
まだ13時過ぎたが、仕事用の書類バックを持って家を出た。
相変わらず空は青空で、気温も高かった。
すぐにでも梅雨明けが発表されそうな天気だった。
スーツでは少し暑く感じた。
俺らは夏でも、サラリーマンの様に半袖のワイシャツは着ないし、営業中はジャケットを着ている。
通勤の時も変わらなかった。
なぜか、水商売を始めた頃からそうだった。
そして少しの暑さを感じながら、
井の頭公園に向かった。
あの桜の木に会いたくなった。
あの桜の木には、冬の命を休めている頃から会っていない。
本当は美しさを、精一杯輝かせている時に会いたかったけれど、
その時はいける状態ではなかった。
今の思えば、瑠奈はその頃病院にいたんだ。
心が暖かくなる春の季節に、病院のベットにいたんだ。
どんな想いで春を向かえたのだろう?
きっと俺じゃ想像しても、瑠奈の
悲しみ迄は届かない位悲しく、切なく、痛かったのだろう。
それが今の瑠奈に反映してるのだろうか?
それを考えると悲しく、そして切なくなった。
あの桜の木に会う事で視覚や聴覚、嗅覚で少しでも何かを感じに行こうと思っていたのに。
思考の方向が反れてしまった様な気がした。
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