花言葉 シロッメグサ

6/16
前へ
/35ページ
次へ
そんな事を思って考えていても、 瑠奈からの連絡が気になっていた。 家にいても落ち着かなくて、 まだ13時過ぎたが、仕事用の書類バックを持って家を出た。 相変わらず空は青空で、気温も高かった。 すぐにでも梅雨明けが発表されそうな天気だった。 スーツでは少し暑く感じた。 俺らは夏でも、サラリーマンの様に半袖のワイシャツは着ないし、営業中はジャケットを着ている。 通勤の時も変わらなかった。 なぜか、水商売を始めた頃からそうだった。 そして少しの暑さを感じながら、 井の頭公園に向かった。 あの桜の木に会いたくなった。 あの桜の木には、冬の命を休めている頃から会っていない。 本当は美しさを、精一杯輝かせている時に会いたかったけれど、 その時はいける状態ではなかった。 今の思えば、瑠奈はその頃病院にいたんだ。 心が暖かくなる春の季節に、病院のベットにいたんだ。 どんな想いで春を向かえたのだろう? きっと俺じゃ想像しても、瑠奈の 悲しみ迄は届かない位悲しく、切なく、痛かったのだろう。 それが今の瑠奈に反映してるのだろうか? それを考えると悲しく、そして切なくなった。 あの桜の木に会う事で視覚や聴覚、嗅覚で少しでも何かを感じに行こうと思っていたのに。 思考の方向が反れてしまった様な気がした。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加