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花言葉 忘れな草。 #2
そしてさゆりとさゆりの旦那は、瑠奈の母親に会釈をして玄関に入って行った。
瑠奈の母親は玄関の外に出て扉を開けてくれていた。
俺は動けなかった。
足を前に出せなかった。
この先に進めば全部終わりになる様な気がして?
瑠奈と出会ってからの約6年間が、
曇りガラスから見るように、見辛くなる気がして?
瑠奈がくれた想いや、優しい時間、優しい気持ち、幸せ、嬉しさ、明るい笑顔、光、涙、切なさ、痛み、苦しみ、怒り、暗闇、寂しさ、重い時間、全て大切なキヲクとして、瑠奈が俺にくれた物を全部取り上げられる気がして。
さっき早く瑠奈に会いたい。
とさゆりに言ったのに。
目の前になると、想い、キヲクからいろんな物がやって来て心を殴っていく。
何回も、
何回も、
何回も痛みを与え傷つく様に殴っていく。
でも決して壊さない様に。
それが俺の弱さだったんだ。
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