花言葉 忘れな草。 #2

1/7
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ

花言葉 忘れな草。 #2

そしてさゆりとさゆりの旦那は、瑠奈の母親に会釈をして玄関に入って行った。 瑠奈の母親は玄関の外に出て扉を開けてくれていた。 俺は動けなかった。 足を前に出せなかった。 この先に進めば全部終わりになる様な気がして? 瑠奈と出会ってからの約6年間が、 曇りガラスから見るように、見辛くなる気がして? 瑠奈がくれた想いや、優しい時間、優しい気持ち、幸せ、嬉しさ、明るい笑顔、光、涙、切なさ、痛み、苦しみ、怒り、暗闇、寂しさ、重い時間、全て大切なキヲクとして、瑠奈が俺にくれた物を全部取り上げられる気がして。 さっき早く瑠奈に会いたい。 とさゆりに言ったのに。 目の前になると、想い、キヲクからいろんな物がやって来て心を殴っていく。 何回も、 何回も、 何回も痛みを与え傷つく様に殴っていく。 でも決して壊さない様に。 それが俺の弱さだったんだ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!