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花言葉 菊(白) #2
俺は下を向いたまま言った。
「嬉しかったんです。」
さゆりが「えっ?何が?」
「そんな状態でも、瑠奈が俺の所を選んでくれた事が。
何も出来なかったけど、
役たたずだったけど、
正直何も出来なくて苦しかったけど、
あんな瑠奈が少しでも笑ってくれた事があったり、
正直に気持ちぶつけてくれる事もあったり、
瑠奈が好きなものが変わってなかった事も、それを無理して食べてくれる優しさも変わらないでいた事も、
全部。
とにかく瑠奈が居てくれる事が、
嬉しかった。
あぁ瑠奈が戻ってすぐに仕事やめれば良かったなぁ!
どうせ辞めるんだから。もっと長い時間一緒に居れたのに。
短すぎました。瑠奈と居れた時間が。」
瑠奈のお母さんは、
「ゴメンなさい。」
と一言呟いた。
俺はお母さんに謝られる理由はないが、何も言わなかった。
返す言葉を探す事もしなかった。
そして氷の溶けたアイスコーヒーを一口飲み、テーブルに残された手紙を手に取った。
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