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「ひぃっ!!」
その何処から突っ込むべきかわからない気味悪さが思わず私をのけぞらせました。
「あやあやあや…
ビックリさせちゃったかな?
君があまりに必死に血を、
それこそ一滴たりとも残したくないって執念がかわいくってさ!!
つい悪戯しちゃったんだよ。」
なにが楽しいのかニコニコと笑いながら血の付いた手をオーバーに動かす男の人がそこにいました。
真っ黒いジャケット、
白いTシャツ、ジーパン。
男の人の特徴といえばそれと不謹慎な笑顔です。
「へえ、君が噂の血喰いなんだあ。」
ニコニコ笑う男の人は
両手で私の顔を優しく押さえつけた。
「あはは、面白いね。
“さっき見てたけど”こんな可愛いお目目が人を爆発させるなんて信じられないよね?」
カタカタと揺れる男の人の手を通して、私が震えているのがわかりました。
前に私は、血喰いであることで人から人として扱われずに危うく襲われそうになったことがありました。
「あ、怖いの?
大丈夫だよ!!僕はずっと君を見ててあげるから、
“殺したくなったらいつでも殺してね”!!」
それとは別の恐ろしさ。
“殺して”といとも容易くいう彼には、
次元の違う何かがありました。
「なーんてね!!
冗談だよ!!
僕、誰かが僕を殺すなんてことをした時に
一子報いることが出来るように…」
彼はそういうとジャケットの裏を私に見せた。
「心臓が止まると爆発する爆弾を、
僕に仕掛けてるからね。
心中したいなら一緒に死のうね!!」
早く、ここから逃げたかった。
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