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そしてあるページを開いて、俺に手渡した。
「……これは、詞か?」
そのページには、見たこともない言葉で書かれた文章が綴られていた。
隣のページには荒れ狂う海の中進む大きな船と、銀色に輝く髪を豪風雨に靡かせ、歌う人魚の姿が描かれていた。
もしかしてこれが、親方の言っていた、歌を歌うと大嵐が起き、船を沈没させるという話の事だろうか。
確かにこれだと、人魚が歌を歌い、大海の奥底に船を沈ませようとしているように見える。
しかし、この挿し絵の人魚は……
「涙を流しているでしょ」
「ああ……なぜ?」
「これは私達人魚の間に伝わる、悲しい物語よ」
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