第2話

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けれどその声は、少年に語りかけているかのように、歌を紡ぎ始めました。  聴いておくれ 私の唄を  荒れ狂う海の道標に   私の唄を 聴いておくれ  そして 私の海に帰ってきておくれ  赦してくれるなら  私の海に 貴方の声を溶かしておくれ 聞いたことの無い言葉だったが、しかし、少年の耳にははっきりとそう言っていることが、不思議と分かったのです。 最後の力を振り絞り、少年はゆっくりと水面に向かって泳ぎました。 そして少年の目に映ったのは、豪風雨の中、岩にしがみついて歌を歌う、あの少女の姿でした。 しかしその姿は、少年の知るあの逞しい姿ではなく、銀色に輝く髪に、美しい翡翠色の瞳を持つ少女でありました。 そして更に驚いたことは、少女の両の足が、人間のそれではなく、魚のひれのようだったのです。
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