第3話

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チェストの上には、たくさんの綺麗な貝殻と、写真立てが二つ、そして小さなランプが置いてある。 壁には海の中が描かれた絵画が飾られており、その中には海の底の宮殿の絵もあった。 もしかして、ユニの住んでいる所の絵なのだろうか。 しばらくその絵の前で立ち止まっていると、絵の中の波が揺れているように見えた。 魚達もゆらゆらと優雅に泳いでいるようだ。 驚いて目を見開いていると、今度は宮殿の中から何かが出てきた。 それは、銀色の髪を波に揺らしながら、こちらにゆっくりと近づいてくるようだった。 もしかしてこれは…… 「ちょっと」 ふいに背後から聞こえた声に、俺は柄にもなく肩をビクッと震わせた。 恐る恐る後ろを振り返ると、長い茶色の髪をふたつに括ったユニの姿があった。
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