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後半尻すぼみになりながら、顔を赤らめて頬を掻いている誠さんなんて初めて見た。
「私? 覚えてなくて。でも、やっぱりメガネじゃない方が好きですよ」
思わず言ってしまった好きという言葉に、一瞬で顔が赤くなったのがわかった。
誠さんも突然の事に目を見開いて驚いていている。
「え、あ、ちがっ、違います。メガネじゃないほうがカッコイイなと思っただけですから……」
不自然な言い訳だけど、今更好きだって言えるはずもない。
プロポーズを断ったばかりなのだから。
「20年前もそう言われた」
懐かしむように池を覗きながら、誠さんはまたメガネを外してポケットにしまう。
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