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「は、はい…」
と、櫻井さんから透明のファイルに入れられた資料を受け取った。
櫻井さんは腕時計を確認して「そろそろ時間なので」とお金をそっと置いて店を出て行った。
昼間の喫茶店は閑散というか"空(カラ)"というものに近い。
都会のオシャレなカフェではなく馴染みのマスターが何年もコーヒーを炒れているというような昔ながらの喫茶店。
噂によると社長の親戚が経営していて、小さなオフィスがわりに使えるようにしているらしい。
そんなことから、デザイナー達とその担当者は時間に余裕がある際はここを使うことが習慣になっている。
けど、今日は私達以外は誰もいなくて…居るのは私とマスターだけ。
マスターが何回も白いお皿をキュッキュッと磨く音が聞こえる。
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