2/12
前へ
/35ページ
次へ
「はい。ありがとうございます。製品が完成した際には会社の方に連絡しますので」 設計図は、ギリギリで昨日完成した。 昨日まで毎日残業。 本当に疲れた。 由真ちゃんには何かに憑かれたんじゃないかと心配される程だった。 担当者の櫻井さんは丁寧に設計図を茶色の封筒に入れて封を閉じた。 「三春さん」 「はい」 櫻井さんは、饒舌家で打ち合わせの時も一方的に話される場合が多々あるのだけど今日は入稿日とあってか口数が少ないように感じる。 「参考までに聞いて欲しいんですが。当社の30周年記念に一つ新しい商品を売り出そうと社長と話していたんですが、それを朝比奈怜(レイ)さんと三春さんでデザインしませんか?」 「私……と、朝比奈でですか?」 櫻井さんは、黒色の高級感漂う革の鞄から何かの資料を取り出した。 同じ資料が入ったファイルを2つ私の前に並べると「こういう形式のものを」と私に一つ差し出した。 「ありがとうございます。 で、でも朝比奈だけの方が良いんじゃないですか…」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加