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朝比奈が苦笑しながら首を振る。
「色の問題じゃないと思うよ」
曖昧に笑ってコーヒーを一口、口に注いだ。
「櫻井さんはきっと、この案で良いんだよ」
「じゃあどうして」
朝比奈は静かに微笑んで私に答える。
「俺達が納得してないから、だよ。
この作品は共同製作だ。
だから、俺達二人ともが納得できる素晴らしいものにしてほしいっていう櫻井さんの優しさなんだよ」
朝比奈は顔つきを改めて、急に真剣になった。
「……そういうこと…か」
「そ。でも、櫻井さんもお厳しいよね。
俺達、結構頑張ってデザインしてんのに」
犬猿の仲。
周囲からみればそう。
実際、当の本人の私達ですらそう思っているけど仕事に関してはどちらとも妥協はしてない。
どちらかというと、良きパートナーだ。
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