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一命は取り留めたということ。 けれど、障害が遺る可能性があるということ。 嘘だと思いたかった。 これは夢だと。 「怜。 ひとまずお前は今日家に帰れ。母さんには俺がついておくから」 「――いや、俺も」 そう言いかけたが、父さんはそれを遮るようにこう言った。 「先生の話によると意識がいつ戻るか分からないらしい。 お前は今大切な時期だ。お前がもしここで今までの苦労を台無しにしたら母さんが一番悲しむ。 母さんには父さんがついてる」 「そんなこと出来る訳ないだろうが!」 俺の声が反響した。 静かだった病院の廊下は一気にざわめきだす。
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