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父さんは冷静に俺に指示した。
「お前が今出来ることを考えろ。
こうやってただ闇雲に母さんの意識が戻ることを祈願するだけで母さんが目覚めるわけでも無い」
「だからそういうことを言ってる訳じゃねぇんだよ!」
「お義兄さん。怜くんの気持ちも―…少しは」
真沙美さんは力無い声で父さんから庇ってくれた。
薄く荒む白い壁。
精神が段々滅入っていく。
何時なのか分からない今、どうして父さんが家に帰そうと言い張るのか。
その時、俺には分かっていなかった。
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