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花本蒼。 表舞台から姿を消して早13年。 13年経った今でも彼の熱烈なファンは多く描いた作品は高額で取引されている。 キャンパスの右端に花本蒼とサインしているのが特徴。 花本蒼の作品は、作品ごとに作風を変えている。 安定感の無い作風が好評だという評論家もいれば逆もいるわけで。 だけど俺はこの人の絵が好きだ。 中学3年の時に雑誌に掲載されていた『葡萄』を見てからこの人には適わないと思った。 理屈じゃ説明出来ない何かがもう初めから存在するようだった。 絶望的な敗北感を味わった割にはあまり悲しみはあまり感じなかった。 才能には適わない。 どこかで感じ取っていたのかもしれない。 『絶望からは何も生まれない。 絶無から全ては始まる』 先生の口癖であり、先生のモットー。
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