10 #2

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扉を開けると真っ暗だった。 人が居ないのか。 そう思って引き返そうとした時だった足下で何かが引っかかった。 カチャンと転がった何か。 それは女物のヒールだった。 そしてそれと同時に、二階で何かが軋む音が鳴り響いた。 興味本位で音を立てずに音のする方向へ歩いていった。 近付くにつれて大きくなる声。 耳を塞ぎたくなった。 聞きたくない、見たくない。 心の何処かの何かが崩れるように音を立てる。 「せ…せん……い」 ベッドがギシギシと軋む音。 喘ぐ声。それがどんどん加速していく。 自分がどれほどまでに卑劣な行動をしているのか。 そのくらい分かっていた。 けど、 ――その声の主が新城彩愛じゃない。 そう信じての行動だった。 暗闇の中で浮かび上がる2つのシルエットが重なり合う。
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