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『―――――レイ。
僕は絶望からは何も生まれない。
そう信じて俺はキャンパスと向き合っていた。
そう思い始めたのは、僕が19歳の頃からだ。
丁度、絵を出さなくなった時だ。
19歳までの僕にとっては、絵っていうのは単なる表現手段でどんな心境、どんな状況でもすんなり描けた。
まあ、所謂"天才"だったわけ。
自分で言うのもなんだけど、大人たちは僕を重宝したよ。
壊れそうな脆い宝物みたいに扱ってさ。
そういうのに飽き飽きしてた。
けど、その世界から抜け出せない自分もいたわけ。
居心地が良いのは確かだったんだから。
普通の高校に通ってた僕は当然校内でも知らないほどの有名人だった。
何をしてても"天才は違う""俺たちとは住む世界が違う"だったよ。
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