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「ちょっと」 そう言われて私は席を立った。課長はお昼過ぎに会社に戻って来て、手にいっぱいの資料を抱えながら私のデスクの方にやって来た。 小さな会議室へ入るように言われた私は電気を付けて、イスに座った。 「課長…その夥(おびただ)しい量のプリントの山は」 「これはね。過去のKメーカーのデータだよ」 「Kメーカーですか?」 「俺も正直、こんな大手から声を掛けられるなんて思ってもみなかった。 よっし!じゃあ早速本題に入るけど。 この事務所から3名、出して欲しいって言われててね。 俺がチーフっていうのは決まったんだけど、後二人のうち一人を三春にしようと考えてるんだ」 「え…?」 情けない声が漏れた。 「え…けど私、仕事が手一杯で」 「うん。それは百も承知」 「じゃあ、どうして」 「企画書を読んでたら思ったんだよ。コレ、三春が好きそうだなって」
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