10 #2

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言い合う夕花さんと光輝さんのお陰か(本人達は全くの自覚は無い)みんなの視線が新城彩愛に向くことが無かった。 俺は後ろにいた彼女の姿を伺った。 目には涙が浮かんでいた。 そして、悲しそうに二人の会話で笑って済ましていた。 そんな表情にさしているのは他の誰でもなく先生で。 先生もそうなることを分かってそうしている。 単純で、騙されやすくて。涙もろくて。 けど先生は天才の逸材だ。 物凄く直感的でもある。 人をその人以上に熟知している。 「ユウってさ、いっつもコウにはトゲトゲしいよな。 なんていうかバリア張り過ぎ」 「なんですか。先生。 あたしはこういう子供っぽい性格が大嫌いなんです。 だから小さい子供を相手するみたいで、そう。躾(しつけ)をする親みたいな気分になるんです。 廣瀬を見てると」 「どっちが?」 「は?」 「どっちが子供かって」 「話聞いてた? あたしが親であんたが子供。 英語で言ったらあんたはチャイルド」
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