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言い合う夕花さんと光輝さんのお陰か(本人達は全くの自覚は無い)みんなの視線が新城彩愛に向くことが無かった。
俺は後ろにいた彼女の姿を伺った。
目には涙が浮かんでいた。
そして、悲しそうに二人の会話で笑って済ましていた。
そんな表情にさしているのは他の誰でもなく先生で。
先生もそうなることを分かってそうしている。
単純で、騙されやすくて。涙もろくて。
けど先生は天才の逸材だ。
物凄く直感的でもある。
人をその人以上に熟知している。
「ユウってさ、いっつもコウにはトゲトゲしいよな。
なんていうかバリア張り過ぎ」
「なんですか。先生。
あたしはこういう子供っぽい性格が大嫌いなんです。
だから小さい子供を相手するみたいで、そう。躾(しつけ)をする親みたいな気分になるんです。
廣瀬を見てると」
「どっちが?」
「は?」
「どっちが子供かって」
「話聞いてた?
あたしが親であんたが子供。
英語で言ったらあんたはチャイルド」
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