14

6/19
前へ
/35ページ
次へ
髪から滴る水なのか零れる涙なのか判別出来なかった。 朝比奈は私の口から出た名前に驚いたのか顔を上げた。 「……なんでその名前」 私が何も答えないで、黙っていると朝比奈は納得したように「そういうことか…」と呟いた。 そして朝比奈は私の手を取った。 温かくて私より一回り大きい朝比奈の手が包み込んだ。 「……俺。こうやって誰かが傍に居てくれるだけで幸せだったんだ。 ほんと、小さなさ…」 「今日…何があったか訊いていい?」 何分くらい経ったのかな? 朝比奈はゆっくりと口を開いた。 「ああ…。 三春には聞いて欲しい」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加