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「朝起きてふと思うんだ。
実はこれは夢でさっきまでのはふざけた茶番だって。
けど、そんな甘い夢なんて直ぐに吹き飛んでしまうよ。
鏡で自分の姿を見てしまうと、それは俺じゃなくて槇本蒼が映ってるんだ。
俺が笑えば鏡の中の槇本蒼が同じ様に右の靨を窪ませる。
そして夢でも何でもなくこれは事実で。
けどどこかでー…心の片隅でまた彩愛さんが"怜"って笑っているのを待ち望んでるんだ」
朝比奈の口から語られた本心は想定してたよりも哀しくて儚いものだった。
朝比奈は濡れた髪を指でくるくると畝させた。
「これ…!それにこれも!」
朝比奈は順番に自分の顔を指さしていく。
「全部……ぜ…ん…ぶ!
先生の真似でしかないんだよ…」
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