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少し高めで、強い口調。 だけど何処か優しさが籠っているその声が大好きだ。 「この資料、あとでコピーかけといて。それと修正データ、連絡しといて」 「はい。えっと、コピーはいつくらいに渡したら」 「明日必要なやつだから帰り際に持ってきてくれたらいいよ」 「分かりました」 彼女は俺の話しを一言一句聞き逃さずに、手帳に言った内容を書き込んだ。 俺はそれを何も言わずに見つめていた。 「課長、どうしたんですか?私の顔に何か付いてますか?」 彼女は不安そうな目で俺に話しかけた。 「いや、ごめん。ただちょっと考え事してた」 そう言うと、「そうですか、ビックリしました」と口に手を添えて微笑した。
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