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「廣瀬課長」
どこからかまた俺を呼ぶ声。
ハスキー声が耳につく。
三春もその声に気付いたのか、後ろを振り向いてその声の主の方を見た。
柔らかそうな艶のある髪が揺れた。
無意識に三春の視線がそれを追いかけていた。
「…あれ、お取り込みでした?」
ニヤケた笑顔がこちらを覗く。
「朝比奈」
「ちょっと、コウ……廣瀬課長そんなムキにならなくても」
怜は俺のデスクに何かしらの用紙を置き、もう一方の手で三春の首もとに手を伸ばした。
その手が段々、下に回っていく。
俺は平常心を保てられるはずもなく、震える右手を左手でグッと押さえつけていた。
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