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「課長、もう大丈夫ですか?」 「あ、うん。もう治った」 また一回分無駄にしちゃいましたね、と2人で少し落胆した。 私たちの後ろに並んでいた人がいたので、ちょっと顔を伏せながら私たちはバッティングセンターを後にした。 佐伯さんは、というと帰り際にカウンターに現れ課長の肩をポンっと叩いた。 それは何を意味してるくらい私にだって理解出来る。 夜の風はだんだん冷たくなってきてる。 それが冬になるってことの兆候だとしたら、私もそろそろ朝比奈への思いを断ち切らないと駄目なのかも知れない。 けど、私はまだ忘れられない。 幸せが手に届く範囲にあるのに、それを掴もうとしない情けなさがあるけど、それ以上に大事な感情が私の心を覆い被している。 「三春、好きだよ」 そう言って、課長はキスをした。
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