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15 #2
課長はこう振りかざすんだ、とバッドを勢い良く振った。
「……違う違う。こう」
私は課長の言う通りにバッドを構えてみた。
なんか、課長のと違うんだよな。
同じ様にしてるつもりなのに…。
「え!?課長!?」
課長は私の手に自分の手を重ねた。
驚く私なんかお構いなしで、課長はもっと強く握り締めた。
「三春、動揺しすぎ。
俺たち仮にでも付き合ってるんだよ?」
"付き合ってるんだよ"
その言葉のナイフが鋭く私の心を射止めた。
「……」
「……えっと、こうやって左足を前に出して右足に重心を置くんだ」
課長の声が少し曇ってたのを気付かないフリをした。
最低。ほんと最低。
嫌悪感が私を包む。
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