20【回顧】 #2

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「そんなにジタバタしたら、落っこちるぞ」 「えぇー。なぁーにぃー?」 支離滅裂なことを繰り返しながら、三春は上機嫌で笑ってる。 「ふっふぁー」 「お、おい!本気で落ちるって!」 人通りの少ない道は、街灯だけが俺たちを照らしている。 真っ暗ではないけど、背後の三春の様子まではっきりと確認出来る程ではない。 挑発だと勘違いしたのかさっきよりも暴れ出した。 三春の体がスルリと俺の背中からずり落ちていった。 「あっ!」 咄嗟に三春の腕を引っ張った。 反射的な行為だった。 「………」 ほんのり唇に残る甘い香り。 他人の唇の感触。 目と鼻の先に、三春の目が覗いた。 「あ、ご、ごめん!」 錯乱しまくっている俺を他所に三春は変わらず笑っていた。 立ち竦む俺を尻目に、三春はぐたっと地面に崩れ落ちた。 その顔にはもう笑みは残ってなかった。 「はあ……ほんっと…なんなんだよ…狂わせられたよ…」
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